ブラジル・パンタナール便り・・・・
2005年 12月 18日
どんなところ?

f0022866_22141027.jpgブラジル・ポルトガル語の「パンタノ」はもともと沼地や湿地を意味する言葉で、その沼地がたくさん集まった場所という意味で「パンタナール」と呼ばれています。あえて日本語的で表記をするなら「マット・グロッソ湿原」と記します。ただし、より正確に当地を表現するなら「湿原」とは言えません。湿原の定義は、通年水に浸かっている泥炭地を意味し、パンタナールは一年中水には浸かっていません。雨季の僅か3~4ヶ月に年間の70%以上の降水量が集中し、河川が氾濫し平原の低地を覆ってしまいます。


f0022866_2246153.jpgパンタナールはブラジル、ボリビア、パラグアイの三国にまたがる世界最大の氾濫平原(浸水草原)です。その面積は日本の本州と同じくらい(約20万平方km)の大きさです。パンタナールと呼ばれている地域の限定はラ・プラタ川水系の主流パラグアイ川に注ぐ全支流地域の海抜130m以下の低地帯を指します。
それらの低地帯の約70%が河川や湖の氾濫水で浸水してしまう為、氾濫平原もしくは氾濫盆地(周りを山脈に囲まれた低地の為)と呼ばれています。

また、ブラジル領パンタナール(全体の70%を占める約15万平方km)は行政区分的にはピキリ川を境に北(約5万平方km)と南(約10万平方km)に分けられています。
最北限(カーセレス海抜118m)と最南限(ポルト・ムルチーニョ海抜90m)の距離が600kmもありますが、その標高差はわずか30m足らずでその傾斜は1kmで2~3cm下がる程度です。

パンタナールには日本のような四季はありません。
大別して雨期と乾期の2つの季節のみです。ただし、生態系を左右する氾濫水の水位状態で4つの季節に別けています。その時期は地域によって異なりますが私が住んでいるポコネ地区、北パンタナール地域は雨期が11~4月で乾期が5~10月です。

11月くらいからまとまった雨が降り始め、1、2月に本格的な雨が降り、川や湖の水位は上昇し水が溢れ出します。この時期を増水期及び氾濫期と呼びます。
この時に小魚は一斉に浸水草原や浸水林に移動します。なぜなら、このような場所は水位が浅く、小魚の捕食者である大型魚が入りこめないからです。それに草原や森林は色々な生物の死骸や落ち葉などの有機物が豊かで、そこが浸水することによって微生物プランクトンが大発生します。小魚にとってはそれらは良い餌になる訳です。

f0022866_641552.jpgそして、3月くらいから雨の量は減り始め、川や湖の水の氾濫は収まり河川は落ち着きを取り戻します。この時期パンタナール全域は水で満たされ、場所によっては海のようの景色になります。この3、4月を満水期と呼びます。雨による水の汚れもおさまり水の透明度は高く景色的には1年で一番綺麗な時期です。

5月頃から雨はほとんど降らなくなり、草原や森林の氾濫水はより低い所に流れ始め、浸水地域は減り始めます。この時に増水期に移動した小魚はまた川の本流や湖に戻ります。アメリカトキコウやベニヘラサギなどの渡鳥が子育ての為にパンタナールに渡って来ます。浸水地域の水は日増しに浅くなり、一部は乾燥し始め川や湖と遮断され小魚たちは草原地帯に取り残されます。そしてこの小魚たちの運命は干からびて生命を絶つか、トリたちの餌になるかのどちらかです。このような無数の小さな溜池はトリや動物たちの格好の餌場となります。この5~7月の時期を減水期または排水期とよびます。

f0022866_6482860.jpg7月くらいから雨はまったくと言っていいほど降らなくなります。まれに7、8、9月の3ヶ月間一滴の雨が降らないこともあります。浸水草原や浸水林の水は乾燥し、氾濫水は最も低い場所に集中しその溜池は乾期の動物たちの水飲み場として重要な役割を果たします。溜池の小魚を狙っておびただしい数の鳥たちが水場に集中し、浸水地域に散っていたワニも、限られた水場に集り水場はワニとトリたちで一杯になり観光客を喜ばしてくれます。9月下旬頃は余りの乾燥の為、草や葉は枯れアフリカのサバナ(乾燥草原)のようになり、とても湿原とは言いがたい景色になります。この頃は水場も涸れて、水のあるところは川の本流と湖のみです。さすがのワニも水無しでは生きていけないので彼たちも水を求めて川に移動します。この時期を乾燥期と呼びます。

10月中旬頃からまた少しづつ雨が降り始め、乾燥した大地に湿り気を与え、枯れていた草や木は一斉に新芽を出す新緑の季節です。そして、また本格的な雨が降り始め、雨期が始まります。

これらの水の営みがパンタナールのたくさんの生き物達を育むのです。
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by pantanalinbrazil | 2005-12-18 22:00 | パンタナール 概 要


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