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ブラジル・パンタナール便り・・・・
2005年 12月 18日
植物相
パンタナールの降水量は平均年間降水量1400mmと比較的少ない雨量の為、アマゾンのような熱帯雨林を形成する高木は見られない。

パンタナールの植物は大別して水辺の水草類、草原の草本科とマメ科を中心とした潅木や樹木、川辺林など林立する耐水性の強い樹木と、様々な環境に適応した何種類かの椰子類に分けられる。

椰子類で一番多く見られるのはアクリ椰子。その他、カランダー、ボカイウーヴァ、トゥクン、ブリチ等の椰子がある。アクリ椰子は草原に点在する独立した森林(現地名「カッポン」島状森林と呼ばれる)に密生している。このアクリ椰子はパンタナールの動物相を支える重要な役割を果たしている。この椰子の実は栄養価が高く、スミレコンゴウインコを始め、フサオマキザル、アグーチ、パッカなどの食料源になる。
ボカイウーヴァの実の果肉は粘質で甘味がある為、「パンタナールのガム」と呼ばれ地域住民も好んで食べる。トゥクン椰子の実は、小鳥や魚などが捕食する。パンタナールの満水時に実をつけて熟すると実は落ちる、その一連のサイクルを知っている魚、カラシン科のコロソマ属のパクーなどが椰子の木の下で実が落ちるの待っている。

水草で最も目に付く種類はホテイ草の仲間、ホテイアオイ。現地では「水の足」と呼ばれ河川や沼地などの止水地で強い太陽光線の恩恵により瞬く間に水面を覆い尽くす。
浮遊性水生シダのサンショウモの仲間「ジャガーの耳」やボタンウキクサ「水レタス」と呼ばれる浮草類は小魚達の格好の隠れ家になる。これらの水草の根は水中に含まれる有機物や泥など吸収する浄化作用を持つ。
珍しい水草ではオオオニバスがパラグアイ川周辺のみの止水地で見られる。大鬼蓮は、アマゾンの植物で有名だがパンタナールにもあり、形態が微妙に違う。こちらのオニバスの葉縁はアマゾンのよりも高く葉の肉厚も厚い為、アマゾンよりも重厚な感じがする。
蓮の仲間では「夜の貴婦人」の名を持つ、月下美人の仲間もその白い芳香を放つ小さな白い花を夜に見せてくれる。

パンタナールを代表する大木と言えば桃色イッペー。現地では「ピウーヴァ」と呼ばれ、乾期(7月下旬~8月初旬)に鮮やかな八重桜のような濃い桃色の花を付ける。
黄色イッペーはブラジルの国樹として有名で、セラード地域やサンパウロ近郊で良く見られる。イッペーの種類は様々で桃色、黄色、紫色、白色と色鮮やかである。
パンタナールで見られるのは桃色と黄色。またこの桃色イッペーのある種には樹皮に抗癌物質が含まれている為、日本ではその樹皮が高価で取引されている。

# by pantanalinbrazil | 2005-12-18 04:00 | パンタナール 概 要
2005年 12月 18日
動物相
パンタナールを代表する動物といえばワニとカピバラと鳥。

ワニは推定300万匹いると言われている。ワニの仲間は3種類に大別される。アフリカやオーストラリアに生息するクロコダイル科、インド、南アジアにいる口が細長いガビアル科、そして南北アメリカ大陸に生息するアリーゲーター科。
パンタナールに生息するワニはアリゲーター科メガネカイマンの亜種、パラグアイカイマン。頭に対して目は大きくて愛嬌がある。体長は大きくても2m弱。ちなみにアマゾンにいる種はクロカイマンで最大6mにもなる。とにかく乾期7~10月にPLに訪れるとワニはたくさん見られる。

世界で記載されている野鳥の数は約9000種と言われパンタナールでは約650種観察されている。そして、その外縁部であるセラード(複合潅木疎林地帯)を含めると950種記載されている。野鳥観察を専門に一週間パンタナールに滞在すると300種前後観察できる。鳥の知識が全くない一般観光客でも最低でも70種程度は見られる。少し真剣に双眼鏡で観察すると70~120種見られる。
ここで目に付く代表的な鳥はコウノトリの仲間のズグロハゲコウ、アメリカトキコウ、サギ類でダイサギ、アオサギ、アマサギ、ユキコサギ、トキ類はハイイロトキ、クロハラトキ、アオアシトキ。ワシタカ類はキガシラコンドル、クロコンドル、ミサゴノスリ、タニシトビ、その他ヤマセミ類、キツツキ類、インコ類、カマドドリ類、アリドリ類、タイランチョウ類など多種多様な鳥が観察できる。その中でも絶滅危惧種に指定されている全身コバルトブルーの大型インコ「スミレコンゴウインコ」が比較的容易に見られる。

哺乳類で一番有名なのが齧歯目最大種のカピバラ。様相は全身茶色の巨大なモルモット。ネズミと違うのは鼻先が尖らずに箱型。水辺や草原で群れを成して生活している。危険が迫ると水中に逃げる。生後一週間たらずの子供でも巧みに泳ぐことが出来る。

レッド・データブックの絶滅危惧種に記載されているオオカワウソも代表的な動物。三日月湖や流れのない中規模の河川を住処にし、多い時には10頭前後の群れとも遭遇することもある。

また湿原に適応した個体として面白い種はヌマジカ。草食動物全般は水には入りたがらないがこのシカは胸まで水に浸かって水草を食べる。そして川辺林などのある程度湿度が保たれている濃い森には南米大陸、哺乳類最大のバクも生息する。水場の生活を好み、川辺林などの歩き易い散策路に溜糞をする。森の中で小型のイノシシのような個体が数十頭群れを成して牙を鳴らしていたら危険である。クチジロペッカリーといわれ敵に猪突猛進で襲ってくる。ジャガーですら手におえない動物。この群れと遭遇したら木の上に逃げるしかない。

南米ネコ科最大のジャガーはブラジルではパンタナールが一番観察し易いと言われている。ジャガーは完全な夜行性ではなく薄明薄暮なので夕方や朝方の川辺の土手や中州の砂浜で休んでいる姿を見かける。ネコ科動物は概して泳ぎが得意ではないがジャガーに関して例外のようだ。中型のネコ科、オセロットなどは夜の水場で見ることが多い。

草原に墓標のように点在する大きなアリ塚の白アリを食べるオオアリクイはそれほど多い個体ではない。むしろ樹上性白アリを捕食する小型のコアリクイの方が見られる。

サル類はアマゾンのように種類は多くない。パンタナールで観察できる個体は、クロホエザル、フサオマキザル、シルバーマーモセット、ヨザルの4種のみ。ホエザルは川辺林、フサオマキザルはアクリ椰子が密生する島状森林などで生息している。マーモセットはリス位の大きさなので肉眼で見つけるのは困難である為、コミュニケーション時に発声する特徴のある甲高い鳴声でおおよその場所を確認してから見つける。

コウモリでは南米特有の小魚を捕食するウオクイコウモリが珍しい。夕方薄暗くなると川面に甘い芳香を漂わせながら水面にいる小魚を長い足で捕まえる。このようにパンタナールの動物は水辺の生態系に適応した種類が多い。

# by pantanalinbrazil | 2005-12-18 03:00 | パンタナール 概 要
2005年 01月 01日
パンタナールツアー2泊3日サンプル日程表
パンタナールツアー2泊3日はこ~~んな感じで行われます。

1日目  サンパウロ~クイアバ空港~パンタナール
10:30 GOL1636便にてクイアバ空港に到着。パンタナール入口の町ポコネへ向かいます。
      舗装道路で所要時間約1時間半弱。
12:00 ポコネの町に到着。ロッジへ向かいます。所要時間土道40分。
12:30 ピウヴァルロッジに到着。チェックイン後、そのままレストランへ。
12:45 ロッジにて昼食。お部屋ご案内。休憩。自由時間。
15:30 ロッジ敷地内河川湖にて水上観察、ピラニア釣りや夕焼け観賞。
19:00 ロッジにて夕食。ご宿泊。

2日目  パンタナール
07:00 ロッジにて朝食。
08:00 乗馬で大草原散策。所要時間約2時間。
12:00 ロッジにて昼食。休憩。自由時間。
15:00 車にてパンタナール縦断道路沿い散策。道路沿いで夕焼け鑑賞。
19:00 ロッジにて夕食。夕食後、徒歩もしくは車で1時間ほど夜の散策。ご宿泊。

3日目  パンタナール~クイアバ空港~サンパウロ
07:00 ロッジにて朝食。
08:00 徒歩にて島状森林内散策。所要時間2時間。
12:00 ロッジにて昼食。
13:00 チェックアウト、クイアバ空港へ向かいます。
15:30 クイアバ空港に到着。ツアー終了。搭乗手続きは各自お願いします。
16:20 GOL便にてサンパウロへ。

# by pantanalinbrazil | 2005-01-01 09:18 | Pantanal Tour
2001年 01月 01日
ポコネ・パンタナールのあばら屋にホームステイ
パンタナールと目と鼻の先の町でホームスティ!

この度、我あばら家の離れの一室を改装し、パンタナールに来る旅人の宿として開放することにしました。

ブラジル経済イケイケムードで物価は上昇し、パンタナールやアマゾン観光などのネイチャーツアー料金は信じられないくらい高くなっています。

そのあまりの高さに世界中の旅人もブラジル入りを足踏みしている者も多くないと聞きます。

遥か昔、チャリダーだったおっさんが旅好きなバックパッカー諸氏達に少しでもお役に立てれればという思いで実行することにしました。

現在近代化が進む大国ブラジル。失いつつ古き良きブラジルの人情ある田舎の雰囲気を感じられるこの町を中心にブラジルを堪能していただければ幸いです。

パンタナールのロッジに泊まらなくてもパンタナールの大自然は堪能できます。
それが出来るのがわが町「ポコネ」です。
マット・グロッソ州の主要観光地である「トランスパンタネイラ」(パンタナール縦断道路)とは目と鼻の先。体力があれば自転車でもワニが見られます。
町からワニが一杯見られる場所まで僅か20km・・・・・・
一番近いパンタナールロッジまでは15km・・・・・

日帰りで、大草原乗馬、島状森林散策、ボート観光、ピラニア釣りも出来ます。

サンパウロやクイアバなど州都、大都会の喧騒は苦手、のんびり田舎で過ごしてみたい。

この町は、日本の昭和の雰囲気が残っている、ゴールドラッシュで賑わい今は廃れてた忘れられた町、パンタナールの伝統的な放牧とわずかな金鉱のみで経済が動いている・・・・・

町全体が廃退的雰囲気が漂っている。灼熱の町で人生を思想思索してみるのも良いかも?

素泊まり、一人R$40レアイス(約2000円)で軽い朝食(コーヒーとミニフランスパン)付き。
インターネット回線もあります。日本語PCもありますのでメールチェックもOK
相部屋ですが三人までは泊まれます。
長期滞在者にはさらに割引も配慮します。
管理人が時間がある時は、パンタナール観光もいたします。もちろん格安で・・・・・

ブラジル中を歩き回ったおっさんが大自然や旅のアドバイスもいたします。

日常会話程度の簡単なポルトガル語を勉強したければ、出来る限り指導します。
ちなみにかみさんは英語の先生ですので英会話上達にも良いかもしれません。

興味のある方は、おっさんまで直メッセージ下さい。

# by pantanalinbrazil | 2001-01-01 09:06 | Pantanal Tour
2001年 01月 01日
金色の小さなサル、ゴールデンライオンタマリン
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 ブラジル5大生態系でもっとも消滅の危機に瀕している生態系 マッタ・アトランチカ。ブラジル大西洋海岸山脈森林地帯。先日、豪雨による土砂崩れによる災害で世界的に放送された場所です。メトロポリタン、サンパウロを始め、リオ、クリチーバなどブラジル経済を支えている経済的に豊かな場所でもある

 マッタ・アトランチカにはブラジルの絶滅危惧種396種の内、350種類が生息し、 65%の動物50%の植物の絶滅危惧種を保持している貴重な生態系にも拘らず、ブラジル政府はMA保全規約51条中、この10年間で2条しか達成していない。そして一番注目すべきことは経済発展が著しいブラジルの人口59%が残されたMA原生林8%近辺で生活していること。

 先月からNHKスペシャルで放送されている「Hot Spot 最後の楽園」で紹介されるセラードよりも消滅の危機に瀕している生態系です。当然、コンサーベーションインターナショナルのHotSpotにも指定されています。早くこの自然の美しさ、貴重さを紹介しないといけません。

 その始めとして僕が今まで見て歩いた自然を紹介していきたいと思う。

 MA(Mata Atlantica)との最初の本格的な出会いは1996年の12月。観光都市リオ・デ・ジャネイロから北東へ300km離れた場所にある自然保護区。

 ここで絶滅に瀕している小型の珍しいサル、ゴールデンライオンタマリン(Mico-Leao-Dourado)の取材をするという目的だった。僕は撮影スタッフのカメラマン助手という現地採用アルバイトの形で撮影に約2週間ばかり同伴した。

 この小さなサルは、生息地であるMA原生林の伐採で生息環境が劇的に悪化して野生の個体数が激減してしまった。世界中の動物園で飼育されているライオンタマリンを健康診断、DNA検査をして繁殖率が高くなるようなカップルを作り、ワシントン動物園に集めて、そこで野生に返すトレーニングをしてリオの元の生息地である自然保護区で無線ラジオの首輪をつけて追跡調査をしながら個体数を増やしていくという壮大な計画が始まった。

 初めて見るMAは森が濃く、シダ類や着生植物ブロメリアや蘭が沢山見られた。正直アマゾンで見た森よりも緑が濃く豊かであった。たぶん外国人がイメージするブラジルのジャングル(熱帯雨林)はこのMAの森のような気がしてならない。

 ポルトガル人が渡航し始めて始めに上陸し始めたのがサンパウロからサルバドールにかけての海岸線。その海辺の背に張り付くように密生した森が生い茂っていた。当時の探検家などの挿絵を見るとのその森の素晴らしさが目に浮かぶ。そして「種の起源」を執筆した今世紀最大の生物学、博物学の創始者と言えるチャールズ・ダーウィンが観察した森もマッタ・アトランチカだったのだ。彼はその探検紀「ビーグル号航海紀」でその様子を詳細に表現している。

 そして100年も経たない間に、その森は原生林としては8%しか残されていないという悲しい事実。

 そのようなガラスのような貴重な森に住む小さな命をなんとか保全していくことは出来ないのか?

 それにはまず、その自然の素晴らしさを一般大衆に見せていくことが最良の手段。

 なんとかマスメディアを利用してこの小さな森の妖精が住む森を紹介していければ幸いである。


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# by pantanalinbrazil | 2001-01-01 00:00 | マッタ・アトランチカ